11月12日(水)、早稲田リサーチパーク3階レクチャールームにて、2008年度SSH成果報告会が開かれました。
半田先生からいただいたレポートを掲載いたしますのでごらんください。その下に杜編集委員が撮影した写真を掲載しております。
なお、保護者専用ページに、生徒の写真と発表を聞いた杜編集委員の感想も掲載しております。こちらもあわせてごらんください。
▼半田先生のレポートは以下のとおりです。
11月12日(水)本庄高等学院主催、SSH成果報告会が早稲田コミュニケーションセンター3Fレクチャールーム303で開催されました。この催しは、各SSH校がその成果の社会還元・広報のために義務付けられているものです。各校によってその取り組み形態は様々です。
11:10~11:20 山崎学院長による開会の挨拶
11:20~12:05 理工学術院教授、前学院長尾崎肇先生による基調講演「早大本庄学院とSSH」
12:10~12:40 報告「SSHプログラムにおける国際交流の位置づけ ~NJCとの交流を通して~」
12:40~13:40 昼食休憩
13:40~14:40 生徒研究発表I(15分プレゼンテーション+5分質疑応答)
1.2008年度重点枠予算成果発表
「NJCとの共同研究発表 ~熱帯・温帯の菌類比較研究~」3年I君、W君
「ボルネオ熱帯雨林の多様な生態系 ~土壌と菌根菌の関連性~種の多様性と熱帯雨林の保存~」2年Kさん、Hさん
2.小笠原研修レポート「オガサワラグワの遺伝子汚染調査」1年Tさん、2年A君
14:40~15:00 休憩
15:00~16:20 生徒研究発表II(15分プレゼンテーション+5分質疑応答)
1.「鉄バクテリアによるインジウムの獲得」2年H君、F君
2.台湾超伝導コンペ報告「ピン止め効果を利用した車軸のない車の研究」2年O君、K君
3.「電池の研究~その持続性~」1年F君、Y君、I君
4.「粘菌の生態」3年W君
生徒発表Iの1は2008年度重点枠予算内で行われているプログラムの成果発表です。
I君・W君の発表は、すでに2年目に入っているNJCとの菌類研究の報告と今後の方向性について述べたものです。最初の発表ということもあってか、質疑が多く、活発な討論がなされました。
Kさん、Hさんの発表は、8月に実施されたボルネオ研修について、前半が研修の主目的であった熱帯雨林の菌根菌と土壌成分との関連性、後半が現地へ行ってわかった熱帯雨林の生物の多様性と失われつつある熱帯林の保護の問題を述べました。この発表は特に二人の希望で英語で行われました。内容もさることながら、その姿勢の点でいい発表だったと思います。また、二人とも本当に英語のプレゼンがうまくなりました(英語の先生から見たら、欠点がまだまだあるのかもしれませんが)。お客様の中で、東大大学院在学中のシンガポールの研究者のXin先生がおり、英語で質問なさいましたが、受け答えも英語で行われました(最後一部は日本語)。
今年の小笠原研修レポートは絶滅危惧種オガサワラグワの遺伝子汚染状況の調査報告です。絶滅が危惧される動植物はたくさんいますが、パンダ・トキ・ゾウなどマスコミで取り上げられるものはごく一部の「目立つもの」だけ、氷山の一角です。水面下ではその何倍もの種が絶滅に瀕していますが、その実態はほとんど知られていないのです。オガサワラグワもその例の1つで、研究論文もほとんどありません。今回は、小笠原から帰ってレポートをまとめている中で、すべてのオガサワラグワの遺伝子調査をなさった吉丸先生のアドバイスを得ることができ、レポートの質も上がりました。
後半、「鉄バクテリア」の研究は、2004年度坂本君のAPEC準グランプリの論文「鉄バクテリアから鉄を採取することの採算性について」の後を2007年劉君が「鉄バクテリアを用いてレアメタル・インジウムを採取する」という視点で受け継ぎ、それをH君が引き継いだものです。極めて現実化の可能性の高い研究といえます。また、先輩の研究を受け継いで深めていくということもSSH活動として理想的なパターンといえます。(スライドは英語だったから、英語の発表を期待したのに…という声を後からいただきました)
超伝導の報告は、「ピン止め効果を利用して車軸のない車を作る」という昨年の台湾コンペでの発表を引き継ぎ、より向上させたものです。台湾コンペ内でも大分評価が高く、尾崎先生の話では最近筑波大で行われた学会でも、台湾の先生から言及があったとのことでした。
電池の研究は、様々な値段・メーカーのアルカリ乾電池の”持ち”を実験比較したものです。必ずしも高価でCMで流される物がいいわけではなく、100円均一で買ったものでも用途によっては勝つ場合がある、という結論でした。内容は単純で1年生らしいのですが(プレゼンも先輩に比べると初々しかったかな?)、私たちが全然疑問を抱かずに、「安いものは高いものに負けるだろう」という考えていたことを改めさせるという点では、面白いレポートでした。
粘菌の研究は、二つの粘菌が合体する際、その栄養状況がキーになっているらしい、という仮説を検証したものです。超伝導のプレゼンでもそうでしたが、粘菌の動きを動画で表現しているため、大変わかりやすいレポートでした。この研究も、2006年度に宇都宮高校からもらった粘菌株「愛子ちゃん」から始まり、株を増やしながら、先輩から引き継いできたものです。
この報告会も今年で7回目です。当初は授業参観と基調講演、教員による報告だけでした。しかし、だんだん生徒報告を多くしていきました。今年は、7本ということになりましたが、生徒が生き生きと自分たちが取り組んだ・取り組んでいる活動についてプレゼンしている姿は、その学校におけるSSH活動の雰囲気を知る一番のバロメータではないかと、最近思っています。研究の質や指導体制については、外部から厳しくみると、様々な意見があるとは思いますが、その「雰囲気」だけは十分対外的にアピールできたのではないかと少し生徒たちに感謝しています。
▼SSH成果報告会の様子(杜編集委員取材分)